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乱華抄
戦中派と戦後派のあいだをさまよう我々は疎開派と呼ぶべきなのか。 帰るところは焼け野原となっており、今いる此所は他人の故郷であって、 自分はいつも流れていなければならないのだと、自分だけの風景を 作らなければならないのだと思いたった所が劇画という世界だった。 だから私の劇画には『筋書き』は不必要なのであって、美しい自分だけの 故郷にたどりつく或る一コマのための、無駄なコマを積みあげた何ページかの 絵の歴史を劇画と呼んでいる私は昭和15年生まれである。 〜上村一夫〜